なってるハウス通信 第10号  2006年2月1日発行

編集:なってるハウス・スタッフ(広沢、有永、小林)   special thanks:芝田文乃 

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今月のピックアップ・アーティスト


宅 朱美たく あけみ (vo,p)
「ミステリアスな魅力」


宅朱美さんのサイト:宅朱美の世界(from ART/COM RECORDS)
 いつの頃からだろう、音楽のみならず物事を一言の形容詞で割り切る風潮がもてはやさ れるようになってきたのは。例えば「明るい」とか「楽しい」とか「軽い」とか。巷に氾 濫するそうした形容詞は、それはそれで意味を成しているのだろうが、物事の一面だけを 表層的に捉えてどうかするとその中身に踏み入って行けないような気がして、私はそうし た風潮を「割り切れない」気持ちで見ていたりする。

 「シューミー」こと宅朱美さんの歌は、そうした私の気持ちにある種の啓示を与えてく れる。力強さの中に隠された儚さ、楽しさの裏に見える切なさ、軽さの中に秘められた重 厚さなど、シューミーさんの歌声を聴くと様々な情感が多面的に重層的に押し寄せるよう に感じることがある。おそらくシューミーさんの張り巡らす鋭い感受性のアンテナが、歌 に対しても単純に割り切れない部分をきちんと拾い上げているからだろうと思っているの だが、ひょっとして、そのような「多面性」を感じるのは、私自身がシューミーさんの歌 にそのような想いを付け足しているだけなのかも知れない。言葉を変えると、聴き手の想 像力を加えてその世界を完結する余地=自由がシューミーさんの歌にはあるということ。 これは偏見かも知れないが、男性の私から見た女性のミステリアスな部分をいつもシュー ミーさんからは感じてしまう。無垢な少女のようだったり、厳かな巫女のようだったり。

 ミステリアスと言えば、シューミーさんの奏でるピアノもそうだ。時にはバド・パウエ ルのように軽快に、時にはセロニアス・モンクのように洒脱に、また時にはレニー・トリ スターノのように厳格にすら聴こえることがある。しかし、それも自分の乏しい想像力が そのように捉えさせるだけの話で、シューミーさんはシューミーさんである。「なんとか 風」と言ったスタイルの切り貼りではなく、鋭い感受性でその刹那に感じ取る説得力のあ る音を紡ぎ出しているだけのようにも思える。

 2月10日に、そんなシューミーさんのリーダーバンド「Shoomy Band」の ファーストCD「requiem」が発売されます。「なってる」でのライブを重ねてバンドと しての完成度も高くなり、私はとってもポップな音楽だと思っていますが、あなたには どう聴こえるでしょうか?

 (宅朱美 撮影:芝田文乃

 そんなシューミーさんのミステリアスな魅力をどう捉えたか、是非感想をお聞かせ願いたいものです。

(スタッフ:有永)
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合羽橋なってるハウス日記    「みっちゃん」の一人鍋


 さて久しぶりに「なってるハウス」指定特約店「居酒屋みっちゃん」のことでも書こう。

当たり前の話なのだが今年も冬がやってきた。昔は冬が大嫌いだったのだが、このところ それほど嫌でもなくなってきた。冬には冬のおいしいお酒の飲み方があるのを知ったから だと思う。寒い時には温かいものをつつきながら飲むのが楽しい。鍋など特に良い。

 「みっちゃん」では12月ぐらいから鍋を出し始める。種類は「水たき」「たらちり」 「寄せ鍋」等、日によっては「あんこうなべ」やら「白子なべ」があったりもする。あい かわらず鍋も安くてうまい。だいたい一人前¥900で「寄せ鍋」が¥1300、高くて 「あんこうなべ」が¥1500ぐらいか。座敷で普通に鍋もできるのだがカウンターで一 人用の鍋をつつくのがとても楽しい。このところ鍋が始まると一人鍋食べたさに無意識に 「みっちゃん」に行く時に極力人を誘わなくなっているのに気づく。それほど楽しいのだ。 
 さて一人鍋のやり方なのだが、まず一人で「みっちゃん」に行きカウンターに座る。食 べたい鍋を選んで注文する。すると小さいカセットコンロが出てきてどっさりと具材の入 った小さな銀色の鍋が出てくる。あとは自分で火を調節しながら食べれば良い。これが楽 しい、鍋奉行もいないし人に気を使うこともないし。おおげさに言うと「世界」の中に鍋 と自分の2人だけになったような感じがする。「世界の中心で鍋を食べる」という感じ。 馬鹿馬鹿しいがこれでいいのだ。食べ終わったあとは頼んで雑炊にしてもらっても良いし 自分で作っても良い。満腹になって帰り道は幸せな気分になれる。「冬も悪くないなあ」 と思う。寒い日には「みっちゃん」の一人鍋おすすめです。

(店長:広沢)

・居酒屋「みっちゃん」
営業時間:午後6時から午前2時 定休日:水曜日
言問通り「中入谷」の交差点 焼肉家の対面 入り口脇に大きな「信楽たぬき」がいます。
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カウンターの向こうから (スタッフ雑感)    「お薦めのジャズ映画」


 今、渋谷で戦前の日本映画、「鴛鴦歌合戦」が上映されています。1939年日中戦争のさ なか、ヨーロッパでは第二次世界大戦が始まったばかりの時代に制作された映画で、後に 「昭和残侠伝」などを撮ったマキノ正博(雅弘)監督の31歳の、恋愛喜劇オペレッタ時代劇 です。つまりミュージカル。時代劇の片岡千恵蔵が主演、後の黒澤映画の重要な俳優、志 村喬らが歌って踊ります。テイチクレコードの全面的な協力で、ディック・ミネや服部富 子などの歌手も客演し、実に楽しい映画に仕上がっています。劇中で歌われる歌が結構く だらなくて、けど良くできているのです。 恋のライバルがいきなり歌でおヒスの喧嘩をはじめ、バカ殿ディック・ミネが「僕は陽気 な殿様〜♪」と城下を闊歩し、商家の娘を馬鹿にして丁稚が歌うなどけっこうばかばかし くて楽しい歌ばかりです。

 これらの歌は、「上海ブルース」など多くのディック・ミネ作品を仕上げた作詞家の島 田磬也と作曲家の大久保徳二郎によっていますが、大久保はサックスを演奏するジャズ・ ミュージシャンでした。実際に歌われる曲も、タンゴ調だったり、スイング風だったり、 歌謡とジャズの未分化な状態を楽しめます。オススメですよ〜。

(スタッフ:小林)
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