なってるハウス通信 第16号  2006年8月1日発行

編集:なってるハウス・スタッフ(広沢、有永、小林)   special thanks:芝田文乃 

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今月のピックアップ・アーティスト


室舘 彩むろだて あや (vo,fl,vib)
「トリックスターの創造と破壊」


室舘彩さんのサイト:小野章&室舘彩 Official Web Site
 Moers New Jazz Festivalに「渋さ知らズ」が出演した翌日、大 トリのバンドも終わり皆が寛いでいる関係者用テントで、彩さんは何を思ったか綺麗に積 み上げられたワイングラスをなぎ倒して割ってしまうという暴挙に出てしまった事があっ た。すかさず警備員に取り押さえられたらしいのだが、その時に他の警備員がやって来て、 いきりたつ同僚に向かってこう言ったそうだ。
「はなしてやれ、彼女はAngelだから(怒っても)しかたない。」

 沢山の知り合いの中でも彩さんは群を抜いて一般常識が通用しない人だと思う(ついで に旦那のアキちゃんも)。一年間居候をさせてもらっていたので、この2人の日常生活を いがいと良く知っている。居候し始めて間もない頃、私の虫歯がひどく痛んで苦しんでい た時に、可哀想だからとバーベキューをしてくれたことがあった。気持ちはとても嬉しか ったのだが、案の定ほとんど食べられなかった。お金がないと困っている部屋の隅にお札 が落ちていたりする。そもそも、今こうして「なってるハウス」の店長になれたのも、ち ょうど居候をはじめた時期に彩さんが出来たばかりの「なってるハウス」に家賃を払うあ てもなく入居したのが縁だ。「面白そうだ」と思った時の行動は素早くためらいがない。 良い意味でも悪い意味でも後先を考えない。

 スイスの臨床心理学者ユングは、人類には共通する無意識があり、共通するイメージを 生み出す働きがあるという。世界中の神話や伝承によく似た話があったり、統合失調症の 患者さんの幻覚に神話によく似た話が出てくるのはこの働きによるものだとした。この働 きを「元型」という。その中のひとつに「トリックスター」という「元型」がある。もと もとは北米インディアンの伝承の人物であり、人類に「火」をもたらした功労者である。 特徴としては、いたずら者、道化、ペテン師、硬直化した価値観を壊し、新しい創造をも たらす者(破壊しかしない時もままある)。

 誤解を恐れずに言えば彩さんのイメージにぴったりである。またある本ではこう規定も されている
『創造者であり破壊者、贈与者であって反対者、他を騙し、自分が騙される存在である。』 自分も騙されてしまう所がおかしい。

 たぶん「なってるハウス」に出演しているミュージシャンの中でもっとも「プロミュー ジシャン」としての自覚のない人である。

 (室舘彩 撮影:芝田文乃

居候していた時「私は別にミュージシャンになりたいわけじゃない」という発言をしばし ば聞いた。たぶん今でもそうだろう。しかしその反面、一日中真剣にフルートの練習をし ていたり歌を歌ったりもしていたりする。

 無自覚であるだけに普通の人間に出来ない事を成し遂げたりも出来るのだろう。これか らも「トリックスター」の大いなる破壊と創造を期待しています。

(店長:広沢)
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合羽橋なってるハウス日記    魚処「すなが」


 今回は浅草周辺の事が思い浮かばなかったので故郷の小田原の話。

 5月に箱根の旅館で行われた「すなが」というお店のパーティーに「なってる」の仕事 をほっぽり出して行ってきました。30才前後にさんざん世話になったお店なので。

「すなが」とはどういうお店かと言うと

1、とにかく魚が旨い。
その日の朝に早川の港で上がった地魚を出してくれるのだが刺身がとにかく旨い。はじめ てここの刺身を食べた時にはちょっと驚いた。小田原育ちで刺身なんて子供のころから嫌 ってほど食べてきたのだが「すなが」の刺身は別物だ。刺身がただ生魚を切っただけの料 理でないことが「すなが」さんに行って初めて分かりました。その他のつまみも魚が主で、 なんでもおいしいです。(近頃はランチもやっているらしい)

2、親父が怖い
坊主頭で目がぎょろりとしていて酔っ払ってないと口をへの字に曲げてほとんど喋らない。 絵に描いたような頑固親父。今はずいぶん丸くなったようだが前は気に喰わない客はよく 追い帰していたようだ。私もよく叱られました。
3、ついでにおばちゃんも怖い。
だいたい、いつも夫婦で切り盛りしてるだが普通だったら親父が怖かったらおばちゃんは 愛想がよくてやさしかったりするのだろうが「すなが」はおばちゃんも怖い。常連になっ てくるともっぱら親父さんよりおばちゃんのほうが怖いと評判です。

まぁでも親父さんもおばちゃんも、きわめてまっとうな事を言っているだけなので普通に していれば大丈夫です。(昔刺身を出された時にタバコを吸っていたら「刺身がぬるくな っちまうだろっ!!」と怒られました。)

 俺が行っていたころは、箱根在住の画家の平賀敬さんやドイツ文学者の種村季弘先生が よく通っていました。今でも敬さんの絵が店中に飾ってあります。(やっぱり書ききれな かったので、この話も続きます)

(店長:広沢)

・「すなが」 神奈川県小田原市荻窪529-1 0465-34-5145
 定休日:たぶん日曜日 小田原駅北口からタクシーでワンメーターほど。
 つまみ2品頼んでビール2本とお酒1本で¥5000弱ぐらい。
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カウンターの向こうから (スタッフ雑感)    「スペシャル・ドリンクをどうぞ」


 今回は思いっきりPRです。随分前から毎月「スペシャル」なる特別ドリンクを考えて います。つい最近は「抹茶ウーロン」というカクテルを出していました。ちょっとゲテモ ノっぽいイメージのネーミングのせいか残念ながらオーダーが無かったのですが、このカ クテルはグリーン・ティー・リキュールをウーロン茶で割るというカクテルでありまして、 意外や意外グリーン・ティーの香りの良さを引き出しながら、ウーロン茶のさっぱりとし た後味が生きているという、これからの暑い季節にはぴったりな、ほんのり甘い清涼感あ ふれるライト・カクテルでした。

 カクテル発案の某お酒メーカーのネーミングは「照葉樹林」。詩的センスあふれる名前 ですが、これじゃどういうカクテルかよくわからないしなぁ(笑)。
 今でも在庫があるのでオーダーしていただくことは可能です。「抹茶ウーロン」という 名前が恥ずかしい方はこの「通信」を手にカウンターにいらして、「ここに書いてあるカ クテルください」とおっしゃってくださいね。

 諸事情で普段は入庫しないお酒を入手したことから始めた「スペシャル」ですが、お酒 には好奇心と探究心旺盛な店長の遊び心でまだまだ続きそうです。今後もお楽しみに。

「抹茶ウーロン」 ・・・¥400(特別価格)

(スタッフ:有永)
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