なってるハウス通信 第18号  2006年10月1日発行

編集:なってるハウス・スタッフ(広沢、有永、小林)   special thanks:芝田文乃 

前号<< INDEX >>次号
今月のピックアップ・アーティスト


ミドリ トモヒデ (sax)
「美意識+遊び心=不思議な魅力」


ミドリ トモヒデさんのブログ:脱力乃アルトサックス
 オーネットのプラスチック・サックスを思わせる、トレードマークと化したシルバーの セルマーサックスを吹くミドリトモヒデさんはミドリオヤジの愛称で親しまれています。 いつもニコニコしていて優しい風貌、年齢不詳の若々しい服装、威圧感や権威的なものを まったく感じさせないその人柄、落語好きの飄々とした話し方などがそういった親しみの ある雰囲気をかもし出しているのですが、けれども演奏においては強力な美意識がありま す。

 昨年、ミドリさんのリーダーバンド、飛頭(とびあたま)のファーストCDが発売されま した。菊地雅晃さんのベース、塚本真一さんのキーボード、イトケンさんのドラムスとい う当代若手の面白いところを集めたグループを率いてもう4年たちます。それぞれのプレ イヤーが、エフェクターや小物などを器用に操り、きわめて現代的な自分達の時代のジャ ズを演奏します。そしてそこから出てきたサウンドは、極めてクールなもので、ミドリさ んの目指すものがやはりジャズなんだなーと、納得してしまうのです。

 ミドリさんはクラブ系の人脈もあり、そのミドリさんの作曲した曲の調子もクラブ系の 若者にも受け入れられそうなポップで楽しいものです。けれどもその曲を加藤崇之さんや 宅シューミー朱美さん、森順治さんらが演奏すると、その曲調の軽やかさとは違い、難し い曲だということが良く分かります。勿論、皆さん自分達の解釈でミドリさんの曲に生ま れ変わった新鮮な響きを付け加えてしまいます。その変容振りが、なんともミドリさんの 人柄に含まれる不思議な魅力ととても似ているのです。

 「なってる」では「飛頭」のほかに、ギタリスト斉藤'社長'良一さんらとのWeed Beats、 ミドリさんの敬愛するモンクやオーネットの影響をたっぷり聞かせるWho's Crazyがあり ますが、特に後者は最近では先述の加藤さん、シューミーさんらとの実験的なコラボレー ションの場所になっていて、演奏後にみんなで音楽について真剣な話をする表情は、和や かではありますが音楽への愛情一杯でなんともうれしくなります。ミドリサウンドを支え るキムカツさんこと木村勝利さんの存在も忘れるわけにはいきません。

 (ミドリ トモヒデ 撮影:芝田文乃

 ミドリさんの楽器から出る音が初期のリー・コニッツを思い出すと言われることがあり ます。ミドリさんの演奏を、リー・コニッツmeetsクラブジャズとかPlaysオーネットなん て考えて聴くのも面白いかもしれません。聴く側のそういった遊び心を喚起させるものも、 ミドリさんのサウンドの魅力なのです。

(スタッフ:小林)
前号<< INDEX >>次号


合羽橋なってるハウス日記    「入谷のさんま」


 暑かった夏も過ぎ今年も秋が来ました。秋の食べ物というと色々とあって人によって違 うのだろうが、ここ何年かの私の楽しみは何といっても「秋刀魚」だ。忍者ハットリくん の大好物、小津安二郎や佐藤春夫にも題材としてとりあげられた日本の秋の代表的な食材。 そして何よりも「目黒のさんま」。どれも名作だ。

 で、秋刀魚の食べ方。まずはすっかり御馴染みとなった「なってるハウス」指定特約店 「みっちゃん」に行き、出来ればカウンターに座る。何はともあれ、まずはビールを頼む。 あとカウンターの上にのってるツマミから何かを頼む。ちなみに私が良く頼むのは厚揚げ の煮物。間違っても「レバ刺し」や「焼き鳥」を頼んではいけない、今日の主役は秋刀魚 なのだから。

で、秋刀魚が焼けるのを待つ。意外と時間がかかるので待っているあいだは新聞を読むか、 カウンターの上のテレビを見て待つと良い。ただし心の片隅では常に秋刀魚のことを意識 しておくこと。ビールが飲み終わって煮物が三分の二ぐらいになると秋刀魚が焼き上がる。
このときに日本酒を注文する。あとは秋刀魚と会話しながらお酒を楽しめば良い。だいた い秋刀魚を食べている時の私の頭の中では「ヒャッ、ヒャッ、ヒャッヒャッ、ヒャッ」と いう高笑いが鳴り響いている、気分は悪代官だ。

近年流通の発達したおかげで8月から10月いっぱいまで新秋刀魚が楽しめるようになっ た。というわけでお代官様の狼藉はまだまだ続くのであった。

(店長:広沢)

来月は問題作「すき焼き」シリーズの第三弾を書きます。

居酒屋「みっちゃん」 営業時間:午後6時から午前2時 定休日:水曜日
言問通り「仲入谷」の交差点 焼肉家の対面
入り口脇に大きな「信楽たぬき」がいます。
前号<< INDEX >>次号


カウンターの向こうから (スタッフ雑感)    「5周年を振り返って」


 おかげさまで、リマさんこと広沢さんが店長に就任してからこの9月で丸5年になりま した。今のスタッフの中では一番の古株の私ですが、私が手伝い始めた当初は(本人もそ う漏らしていましたが)リマさんが5年もこの店を続けるなんて思ってもいませんでした。 サックス奏者としてこれからという勢いのある感じだったし、店の経営に時間を取られる ことで足を引っ張られなければいいなぁという懸念があったのです。今思うとそれはまっ たくもって無用の心配だったということで、この店を足場として、自己のリーダーバンド を立ち上げますます快調ですし、他の参加バンドでもメキメキとその頭角を現してきてい ます。  リマさんだけではありません。確かに昔に比べて出演してくれる方も多くなりましたが、 5年前から出てもらっている方は実は同じ顔ぶれが多いのです。なのにライブは(自分の 主観もありますが)ますます面白くなってきている。これは出演者の皆さんが日々努力し 前進しているからにほかならないと思っています。

 それが伝わるのか、この1年だけで見ても年間で150人、月に10人以上、御来店い ただくお客様が増えてきています。本当に嬉しいことです。これからもリマさんのスロー ガンである「毎日良いことが起こる場所」を目標にお手伝いできたらと思っています。

(スタッフ:有永)
前号<< INDEX >>次号





このページに記載されている文章・画像の著作権は、文章は「なってるハウス」に、画像は写真家の芝田文乃さんに帰属します。
許可なく複製・転用・転載することを禁止いたします。